心が追いつめられてしまう前に、きちんと知りたい強迫性障害のこと

メガネの医師

強迫観念と強迫行為

強迫性障害とは、神経系の異常に端を発する精神疾患のひとつで、その症状は「強迫観念」と「強迫行為」の絶えざるくり返しの中で進んでいきます。
あるひとつの観念が心に宿ると、それをきれいに拭い落とすことが難しくなり、そのための行為を何度も何度もくり返してしまうというものなのです。
普通、私たちは鍵をかけて家を出ると、それで「鍵をかける」というミッションを完了させますが、強迫性障害の場合には、一度「ちゃんとかけたっけ?」と思い始めると、ミッション完了のボタンを失ってしまうのです。

もちろん、強迫観念の多くは言わば思い込みであり、強迫行為のほとんどは無駄な行為であると言えます。
客観的事実として家の鍵はしっかりかかっているのに、「かかっていないのでは」という思い込みにとらわれます。
そして、すでにかかっている鍵をかけに戻るという、客観的に見れば無駄でしかない行為を、何度もやってしまうのです。

強迫性障害は、几帳面な性格の人や周りから神経質だと言われるような人に多く発症が見られると言われています。
彼らは物事をしっかりと把握し、完全性を志向することを求め、次第にそのことにのめり込んでいってしまいます。例えば、数に対するこだわりが異常なほど強くなってしまうのも、強迫性障害の症状のひとつです。
その症状が進んでいくと、最終的には自分の呼吸の回数まで気になってしまい、体を空気が出入りする回数を1、2、3……と数えなければ気が済まなくなってしまうこともあるのです。

強迫性障害の恐ろしいところは、無駄な観念と行為によって心が疲弊してしまうだけでなく、気持ちが沈んでしまうような嫌なことばかり気になってしまうというところにあります。
例えば、ちょっと苦手な人に会うと、「気を抜いたらこの人を傷つけてしまうのではないか」という恐ろしい考えにとらわれてしまうといったことです。
なかなかその考えを振り払うことが出来ず、人付き合いも出来なくなってしまうのです。
自分の心だけでなく、自分とその周りとの関係も悪化させてしまうという点で、強迫性障害には気をつける必要があると言えるでしょう。